ユーザー車検は安心じゃない?民間車検との違いと整備士が語る実例


ユーザー車検は安くて財布が助かる!

税金とちょっとの手数料だけだからね!
だけどデメリットもあるから確認しよう!
車検代だけをみるなら、自分で運輸支局(または軽自動車検査協会)に持ち込んでユーザー車検を通すのが最安値です。
たしかに費用はかなり安くなりますが、安さの裏には意外なリスクも潜んでいます。
整備士の立場から見ると「ちゃんと点検したのかな?」と思う場面も。
本題に入る前に、先に結論からお話しします。
◯ ある程度の知識や経験がある人ならユーザー車検はアリ
✕ 料金だけをみて飛びつくならナシ
じゃあ、そもそも【ユーザー車検】ってどんな仕組みで、民間車検と何が違うのか?
まずはその基本から見ていきましょう。
1. ユーザー車検とは【最低限】しか確認しない
1-1. 最低限の適合確認

ユーザー車検は、「車の持ち主本人又は代行」が直接、運輸支局や軽自動車検査協会で受ける車検のこと。
検査の目的はあくまで「保安基準に適合しているか」の確認なので、現場で修理や交換などの整備はありません。
つまり、検査に通っても「2年間安心」という保証ではなく、通過時点の状態にすぎません。

ユーザー車検に代行で持ち込み車検を取る整備士もいるよ
1-2. ユーザー車検と指定工場(認証工場)のちがい

ユーザー車検は売上を目的としていないため、
「交換したほうがいいけど、保安基準をクリアしているから車検はOK!」
一方、民間工場は予防整備を含めた提案を行い、長期的な安全を見据えた整備が可能です。
3. 【実例】ロアボールジョイントが脱落して事故寸前

「タイヤが斜めになっている!」
とのことでレッカー要請があり現場に駆けつけて確認すると、ロアボールジョイントが外れタイヤが外方向へ大きく倒れていました。
運転手さんに話を聞くと、「ユーザー車検で車検を取った」と…..。
ロアボールジョイントは、足回りの関節にあたる重要部品で、タイヤの向きを支える役割があります。
ここが損傷すると、真っすぐ走れなくなるだけでなく、最悪は走行不能や重大事故に直結します。
検査場(運輸支局や軽自動車検査協会)では、分解して内部まで確認することはありません。
そのため、外観上は問題なく見えても内部が劣化している場合、検査に合格しても短期間で重大な不具合が発生することがあります。
まとめ
ユーザー車検はおサイフ面では魅力的ですが、あくまで「基準に適合しているか」の確認だけ^^;
整備や予防点検までは含まれないことを忘れないでください。
それでもユーザー車検にこだわりたいなら、裏技として指定工場で事前点検(5,000〜10,000円)を受けてから持ち込むのがオススメ。
※工場によっては保証が付かない場合があります。
安く車検を通すことは自体は悪くありません。例えば….
【次の車を見つけるまでの安く車検を抑えたい】
【中古車販売する時に車検があったほうが売れやすい】
など使い方によってはメリットはあります。
でも、これからも長く乗るのであれば「車検を取ればいい」ではなく「安心して乗れる状態」にすることが最優先になります。
そのためにプロの点検をうまく取り入れるのが、結果的に一番安く、そして安全な方法です。